「被災」「放射性物質」「被曝」「虐待」「レイプ」「HIV」…多くの「死」…繰り返される「暴力」…。
今回の映画では、非常に厳しいモチーフが並ぶ。ある意味では、触れ方を間違えるとすぐにでも「不適切な表現である」ということになるし、なにより、そういったことに現実として向き合っている多くの人々をひどく傷つけることになってしまう大きな危険性を孕んでいる。
そして、だからそのようなモチーフに向き合うには最大限の慎重さと繊細さを保持し続けねばならないし、同時にとても強いストレスを抱えざるを得ないということになる。
そんなモチーフを、僕はあえて用意したということになる。
ひとつひとつの問題についてリサーチを重ねていく学生たちはそのストレスに耐えられなくなる瞬間がある。
ほとんど泣きながら、取材した結果或いは自分自身の体験を報告してくれるケースがある。
耐えて欲しいと思う。
逃げずにさらにそこに向かい合って欲しいと願う。
そしてあなたが感じたことをこの映画の中に表現していくことをして欲しい。
そうしないとこの映画のモチーフは全て無駄な、「不適切な」ものになってしまう。
どんなことがあってもそれでもあなたは生きている。
どんなことがあってもそれでも彼らは生きている。
みんな生きようとしている。
生きようと、切実に、願う。
その先に虹が出るのだと思う。
きっと。
そして、そういったモチーフを表現することの全ての責任は、監督である僕が負わねばならない。