有吉さんのページ(TSUKASA ARIYOSHI)で、僕との出会いに関して有吉さんが語ってくれている。
そこで僕の「何よりお客様に映画を届けることが重要」という感覚について書かれてあるが、最初からそういった感覚が僕の中にあったとは言えないだろう。むしろ、『愛してよ』という作品の配給宣伝に関わることによって(普通は監督がその領域まで踏み込んでいくことはないのだが、そのときは「コンパクト」な映画であったこともあり、何故か有吉さんに言われるままに僕は毎回宣伝会議に出席していた)、有吉さんからそれを学んだということだと思う。
そしてその「感覚」こそが映画にとってとても大切なものであり、学生たちにもっとも欠けているものであると思えたので、有吉さんをこの学科に誘った。
そのときに話し合ったのは、ここでただ「今の配給宣伝のノウハウを教える」のではなく、学生たちとある種の試行錯誤を繰り返しながらこの先につながっていく「新しい配給宣伝の形を見い出していく」ことができないだろうかということだった。
そのためになら自分が学校に行く意味があるだろうと有吉さんは言った。挑戦したいと。
北白川派作品『MADE IN JAPAN こらッ!』『カミハテ商店』さらに『彌勒』と、そのチャレンジは続く。
『正しく生きる』での新たなチャレンジのひとつがこのブログだ。
シナリオ改訂の経過すらも含め、製作過程をオープンにしていく。
そのことが引き起こす反応をさらに映画の内容或いは配給宣伝の中に反映できないだろうか…制作ノート的なことを同時進行で書き込んでいくブログは過去にもあったがシナリオまでオープンにした映画はなかったんじゃないか…撮影前に映画館からの書き込みがあったりすると面白い…。
それがホントにそんなに新しいことなのかと言えばさほどのことでもないのかもしれない。ただ、やったことがないことはやってみなければどうなるのかどうなのかなんて誰にも何もわからない。
そしてこのブログが、いまそこまで機能しているとは言えないのも確かだ。
でも我々のトライはそこに、何か少しでも新しい形を発見することへと向かっていく。