今日は最後の撮休、スタッフルームの「消し香盤」の白枠も残り少なくなってきた。
後はクランクアップまで突っ走るだけだ。
昨日の岸部さんのアップに続き、明日は弁当屋の店長役 宇野さんの終了予定。
残る役者は子役の紗月ちゃんとうちの若手たちだけとなる。
明後日3月3日は大阪シネマフェスティバルだ。
北白川派の2010年度期製作の「カミハテ商店」が主演女優賞(高橋惠子さん)、新人監督賞(山本監督)、音楽賞(谷川賢作さん)の三冠を受賞し、監督らは檜舞台へと上がることになった。
僕はと言えば、監督賞の若松孝二監督の代理で受賞する井浦 新君と共に若松監督を忍ぶトークショーに呼ばれている。
若松監督との思い出なんて、大した話を持ってないがやはりテストも無く本番を迎えなければならない辛さだろう。
「千年の愉楽」では僕が演じる泥棒の親玉と高岡蒼佑君らとで空き巣に入る場面、現場に呼ばれたかと思えば金庫の隠してある部屋の前で待たされていきなり本番。
部屋にもまだ入ってないからどこに金庫が隠してあるかなんてわかりゃしないし、スタッフだって教えてくれない。わざと教えないのではなくそれどころじゃないわけだ。
やがてカメラは回りだし、当然本気で探さなければ見つかりゃしない。
もたもたしてると案の定カットがかかり、「おまえら真剣に探さないから見つからねえんだ!」
そんな理不尽とも言える監督の演出はこればかりじゃない。
とにかく油断してると雷が落ちる。
呑気に出番を待ってなんかいられない。
控え室から常に本番体制でいなければならないのだ。
それは俳優だけじゃなく、長年若松監督作品に付き合っているスタッフにさえ怒鳴り散らす事もあった。
当時、心臓を患っていた監督だが、こんなに元気ならきっと自力で治すと思っていたのに、思いも掛けない事故だった。
生きていたら、今年も大作をとる予定だったと聞く。
TrackBack URI