4回生が卒業した。
中には「正しく生きる」に参加してくれた俳優コースたちもいて、夜には謝恩会から僕には珍しく2次会まで顔を出し、あげくにはお開きまで居残った。
それだけ色んな思いを脳裏に巡らす学生たちだった。
さみしくないと言えば嘘になるが、春にはまた新たな学生が現れると思えば、むせそうな胸の内もおさまりそうだ。
次の大西や土村、ぎぃ子や仙洞田、萌や航らのような味のある役者は出てくるだろうか。
育てるのはおまえの役目だろ、と言われそうだが、作り出すのは僕じゃない。
あくまで本人が努力してその時の”自分”を見つけ出していくものなのだ。
俳優ってそんなもんだ。
イバラの道だと良く言うけど、僕には痛くもかゆくもなかったね。
何をやっても楽しかった。毎日続く工事現場のアルバイトも金がなくての同棲生活も喧嘩も飲酒も多重恋愛も、芝居の稽古や本番があったからいつも満ち足りていた。足りないと言えば金だけで……。
社会に出る君らに告ぐ。
映画に出てくるような巡り合わせやチャンスってすぐにゃ来ないよ。
でも貧乏でも続けていれば必ず良い事だってあるもんだ。
僕の場合、幸福感を些細な事で感じられるようになったことだ……。
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