『八月の鯨』

東京に戻り、神保町の「岩波ホール」でリンゼイ・アンダースン監督『八月の鯨』のニュー・プリント版を観る。

老いと死と人生をテーマにし、かつて驚異的な観客動員数を記録した作品のリバイバル上映と言うことで高齢のお客さんが多かった。

加えて先日亡くなった「岩波ホール」支配人の高野悦子さんを偲ぶひとも駆けつけていたのだろう。

 

甦る相米慎二

有吉さんの「マジックアワー」が企画協力・宣伝をしている『甦る相米慎二』を観に渋谷「ユーロスペース」に行った。

観たのは『台風クラブ』と『雪の断章 情熱』の2本。

前者は事情により35mmプリントではなかった。後者は事情によりDVD化の予定はないらしい。
けれどもどちらも何度観ても新しい発見があって驚く。
上映前のイベントに斉藤由貴が登壇して興味深い話をたくさん聞くことが出来た。

京都でもこの「相米慎二監督全作品上映」をやってくれないかな。
ぜひとも学生たちに観せたい。
ねぇ、有吉さん。
 

棒焼きラッシュ

フィルムの時代(!)には「棒焼きラッシュ」と言う言葉があった。

撮影した翌早朝に現像所にフィルムを送りそのままの状態でポジ・フィルムを焼いてもらって撮影所に送り返してもらい夜に試写室でラッシュを観る。

これが一番早く撮影したフィルムを観ることが出来る方法だった。

とりあえず焼いただけだからNGもそのままの状態で撮影された順番になったまま、色補正もされてなくて、当然音は付いてなくサイレント。

それでも監督以下助監督や記録さん、撮影部、照明部は一刻も早くチェックしたいのだ。特にクランクイン初日分の棒焼きラッシュは試写室に緊張感が漂っていたものだ。

各パート問題がないか。バレものはないか。レンズごみはないか。最悪のケースは再撮もありうる。他にもいろいろな課題が解消されているかをチェックする。他のパートには解らない細々としたことがたくさんあった。例えば記録さんは衣装や小道具のつながりから俳優さんの顔の向き、手の位置などなど。

俳優さんも自分の芝居を試写室の大きなスクリーンで観て悩む。あの芝居で本当によいのか。カメラにはどう言うアングルで写っているのか。表情や相手役との位置関係や細かな仕草、話し方、間、などなど。時に、監督はああ言ったけれど、別の芝居があるのではないか。

と言うような状況が「棒焼きラッシュ」と名付けられた時間だった。

 

参考試写

26日午前11時から試写室で真利子哲也監督『NINIFUNI』を観ます。

出演:宮崎将 山中崇 ももいろクローバーZ

2011年 42分

『秋のソナタ』


有吉さんの「マジックアワー」が配給するイングマール・ベルイマン監督『秋のソナタ』を観に渋谷「ショウゲート試写室」に行く。
イングリッド・バーグマンを向こうに回しリヴ・ウルマンが圧倒的な演技を見せる。

デジタルリマスター版で12月8日から「ユーロスペース」他で全国上映。
また来年には同監督の『第七の封印』『野いちご』『処女の泉』も上映が予定されている。