ボクが福岡監督と7年前に初めて逢った映画だ。その映画と監督には、Mといういい加減な(笑)あ、Mなんて書くと本当にいい加減でダメな感じが際立つので、森重プロデューサーと言ってしまおう(笑)が逢わせてくれた。マジックアワーで配給した極めて初期の1本ということになるが、宣伝は事情があって他の会社に任せた。その宣伝会社が、思ったほど仕事をしてくれず(無論、配給であるボクの責任は重い)、秀作『愛してよ』は多くの人に観てもらえないまま終わった。
でも、その配給・宣伝の動きの中で、福岡監督とは通じるものがあり(年齢も同じ、家庭問題もなんか似ている、何より映画をお客様に届けることが重要という映画監督には珍しい感覚があった)、その後映画監督協会の『映画監督って何だ!』(山本監督との出会いはその時)を経て、映画学科の学生をウチの事務所に連れてきてくれたりする流れの中で、ボクも京都造形で教える現在に至っている。
今回の新作は、それ以来の福岡監督作品ということになる。『愛してよ』の興行的失敗の後(と言いながら、今考えるとそれほどひどい成績でもなかったかもしれない。今はあの頃より小さい映画を取り巻く状況が数段ひどくなっている)、この仇討ち(あるいは福岡監督への恩返し)をどこでできるだろうと考えてきた。
新作でやっとそのチャンスが巡ってきたことになる。低予算の、『愛してよ』よりさらにハードルが高い、誰がこの映画を観に来るのかさえ全く想像がいまはできない問題作(に間違いなくなるだろう)。鈴木歓という心強い味方を得て、このサイトがこんなに早く動き出し、筆不精のボクが、こんなにブログを更新しているのも、そんな理由があるからだ。
新作『正しく生きる(仮題)』が、来年完成し、再来年公開されたとき、劇場に渦のように詰めかけた観客が(笑)映画を観終わったあと、「愛してよ」ではなく、好きな誰かに「愛してる」と言える映画になっていて欲しいと心から思う。
その時まで、福岡監督、カンさん、それにこの映画に関わっているスタッフや学生諸君、みんなでファイト!